日本の書道史を語る上でなくてはならないのが、『かな』。
平安時代に華やかな紙が開発され、気品漂う日本のかな文化が誕生しました。
かな作品用に加工・装飾されたものを料紙とよびます。
料紙の加工には、染紙、ぼかし染め、砂子振、金箔振、貝引きなどなど様々な手法が用いられ一枚の美しい紙となります。
学習される方も当然華やかな紙が欲しくなるものです。
料紙の寸法は平安時代に作られ、サイズは時代とともに変化していますが、現在もその呼び名が用いられています。
現在では「全壊紙」(約50×36㎝)を基本に、半分にした「半懐紙」(36×25㎝)の2種類の他、大きな「特殊判」「古筆」の臨書にそのまま使用できる「古筆版」も作られるようになっています。
料紙の装飾美
華やかな料紙は、見ているだけでも心が躍ります。
真っ白な紙とは違い、染めたり塗ったり箔をおしたものなど装飾を施した紙は色彩豊かで優美な雰囲気を纏っています。
古来より、「かな文字」で和歌を詠む仮名文化と共に発展してきた料紙。漢字を書く画仙紙などとは違い、にじみ止めを施した紙が用いられます。
かな用の料紙は基本的にドーサをひくことでニジミ止めの加工がされています。ニジミ止め以外にも、様々な美しい装飾が施されているものをいくつかご紹介いたします。
■ぼかし・・・・・・紙に色を染める加工で、柔らかくぼかしながら繊細に色付けが施されています。
■砂子ぼかし・・・・砂子(すなご)とは金や銀の箔を粉末にしたもので、ぼかした紙の上から糊(のり)をのせ、上から金や銀の粉を振り落として装飾されたものです。
■切箔砂子ぼかし・・砂子ぼかしの上に金や銀の箔を種々な形に細かく切り貼付けて装飾されたものです。砂子よりもやや大きめの箔を用い、砂子の繊細で淡い輝きと箔の強い輝きが相重なると、より華麗に感じられます。
■具引き加工・・料紙の表面に胡粉を塗る加工が施されています。具引(ぐびき)というのは紙の表面に胡粉を塗ることで、墨のりをよくする効果があります。
作品をより華やかにしてくれる金箔や銀箔。小さく切って装飾されているのですが、その大きさによって呼び方にも種類があります。